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● NICHIGO PRESS 9月号
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今日は夕方、パシフィックフェアーで『君の名は。』をやる。
以前に一度上映されたというが知らなかった。
ここでは確か1年に1回、日本映画祭をやっている。
前は『クール・ジャパン映画祭』と銘打ってやっていたが、最近はこの言葉を聞かない。
数年前になるか、この映画祭ではじめて新海誠のアニメを見た。
『星を追う子ども』である。
このときロビーナ図書館では『新海誠アニメフェアー』を開催しておりこれも見に行った。
作品の原画やスケッチなどが展示されていた。
新海誠自身は来ていなかったが制作スタッフが来豪して質問会のようなのも開らかれた。
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インターネットを開ければ彼の作品をほぼ自由に見ることができる。
実のところ、私には彼の作品がよく分からない。
立川こしらは42歳、新海誠は44歳、同世代になるがこしらは向こうから歩み寄ってくれる。
寄席とはつまり席に寄ってくる、である。
新海誠はこちらから歩み寄らねばならない。
そのどう近寄るべきかがわからないということだろう。
『君の名は。』もインターネットで見ているが、やはりよくわからない。
あれほどのフィーバーになった作品なのだが、「さほどのモノなのか?」という感想である。
といってもインターネットでみるのと、劇場の大画面でみるのとでは印象が違う。
こしらが言うように、「落語は生で聴いてみないと」と同じなのであろう。
どんな感情が生まれてくるであろう。
以前の日本映画祭で一日一本の割で数日に渡って上映したことがある。
そのすべてを買って見に行ったのだが、ある日さて出かけようかな、と思ってチケットを調べたら、なんともう始まっていたことがある。
今から行っても映画館に入るのに30分以上はかかる。
これは無理! ということでパーにしたこともある。
このときチケットは有料であった。
今日のは無料である。
開演1時間前にチケットを配るという。
ということは1時間半くらい前に行って並ばないといけないということになる。
これは面倒である。
オーストラリアフェアーなら近くていいが、パシフィックフェアーは遠い。
もし、取得できなかったら無駄足になる。
客席数は二百ほどではないだろうか。
さてどうなるのだろう、行ってみないとわからない。
『君の名は。』で思い出されるのは『四月は君の嘘』だろう。
新海誠もこの作品の作家イシグロキョウヘイに大きな影響を受けたと述べている。
何しろテレビアニメでありながら、描き込みがすごい。
ここまでやるか、といったレベル。
一つ世代前の『のだめカンタービレ』と比較するとそのすごさが迫ってくる。
『四月は君の嘘』の舞台は西武池袋線である。
その沿線のもろもろの風景がアニメのなかに克明に描かれている。
それがこの作品に深みを与えている。
これが新海誠に影響を与えている。
新海は中央線の特に新宿・四ツ谷の風景を丁寧に『君の名は。』に描いている。
新海はどちらかというと頭の中でファンタジーをつくりそれを画像化する傾向がある。
しかしこの『君の名は。』足で歩いてそこからのインスピレーションで創ったと言われている。
その辺のところも見てみたい。
蛇足で言うが、『四月は君の嘘』の実写版は実につまらない。
アニメファンが怒るのも無理はない。
中学生が高校生になるのは実写では俳優の手配からしかたがないことだろうと思うが、西武池袋線が江ノ電に置き換わり、ためにストーリーがどこにでもありそうな湘南風景青春モノになってしまっている。
深みというものがきれいに失われ、薄っぺらな青春恋愛映画になってしまっている。
いわば『太陽のうた』の薄い焼き直しバージョンみたいなものである。
結果として私の好きな宮園かをりの名セリフも抜けることになってしまっている。
『
卵サンドが好き。
モーモー印の牛乳が好き。
あと何が好き?
好きな昆虫は? 何を集めてた?
好きだったアニメは?
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http://
www.goodanime.co/?s=Shigatsu+wa+Kimi+no+Uso+0
』
さて、出かけてみる。
パシフィックフェアーは去年あたりまで大がかりな改装工事を行っており、完成後の映画館にいくのは今日が初めてになる。
● 改装なったパシフィックフェアー
● 新装なった映画館
4時頃についたが列ができている。
100名ほどであろうか。
4時20分から整理券配布であるが、4時10分頃には始まった。
この時、私の後ろには30人ほどが列を作っていた。
「JAPANESE FILM FESTIVAL 2017」というのがこのイベントの正式名名称のようである。
● 整理券配布のカウンター
ただ、正式の開催はキャンベラ、アデレード、ブリスベンそしてパースである。
ということはゴールドコーストは「おまけ」のようである。
シドニーとかメルボルンといったところは入っていないが、独自で開催している可能性も高い。
パンフレットがありましたので映画祭の内容をコピーしておきます。
さて、中に入る。
満席である。
客席数はざっと数えたが、やはり二百数十席というところだろう。
チケットを受け取れなかった人が30人ほどいるという。
シートを取れないことを覚悟で座りクッションをもって入場している子供もいる。
上映に先立ち、新海誠のオーストラリアで開催されるフィルム・フェステイバルへのビデオメッセージが映写される。
『君の名は。』の内容に関するもろもろである。
いよいよ上映される。
やはり大画面はいい。
細部まできっちり描き込まれている。
細密画をみるようだ。
これをインターネット画面でみてもそのすごさはわからない。
映画でみるべきであるある。
通常、あまりに細かく描くと険しくなってしまうのだが、都会の風景も自然の風景もまろやかで優しい。
見知っている風景にであうと、新海にはこう見えるのかと思ってしまう。
前半はなるほどと思ってみていたが、案の定後半に入るとだんだん訳がわからなくなる。
大画面でかつ時間的に完全拘束されて、これ一本に意識を集中してみているのだが、それでもストーリーが分からなくなってくる。
「とりかえばや」は日本にも昔からあるもので、珍しいものでもない。
夢の中で入れ替わるというのも、ひねりはあるが難しいものではない。
まず、とりかえばやの回数が多く(そういう感じがあるだけで少ないのかもしれないが)前後が散漫になる。
これに3年というタイムスリップが入ってくる。
とりかえばやで3年という時間差はよほどきっちりさせないと訳がわからなくなる。
主人公どうしに3年という年齢差が発生していいはずである。
つまり3年前に女子高校生だったヒロインが、3年後の男子高校生と入れ替わるということになっているわけである。
話としてはいいが、その差がエンデイングでは出てこない。
同年代として描かれているようである。
隕石によって町が消失するストーリーでは浴衣を着たヒロインが隕石の墜落を目撃するが、とりかえばやではセーラー服のヒロインが人々を高校へ避難誘導するストーリーになる。
2つのストーリーが並行するのだが、これは3年後にとりかえばやが発生したことによって歴史が書き換えられたということなのであろうか。
なにしろわからないことが多い。
それから5年後に主人公の二人が出会うのだが、それがいとも平凡に終わる。
それまでの重層な組み立てで進んできたのに、なにかとってつけたようなチープな終わり方をする。
エンデイングなんっていらないんだが、そうもいくまい、つけるか!
てなレベルの軽い吹けば飛ぶよなノリで、濃厚な物語の上に、フワッツと乗せられて終わらされるのである。
尻つぼみのラストである。
ウーンこれは何? である。
フィーバーを巻き起こした作品であるから、鑑賞者に訴えるものが大きくあるのだろう。
ということは、私がその意識から遠い存在だということである。
老いて理解できなくなったのか、日本を離れている時間がながかったせいで、現在の日本人感覚から離れすぎてしまったかである。
このいずれか、あるいは2つ同時だということなのであろう。
スルリと飲み込むことができるわかりやすいものしか受け付けなくなっているということのようである。
背景であるが新宿駅と四ツ谷駅が濃厚に描かれている。
絵になる風景にこの2つは新海の中で合格しているということであろう。
そしてこの2つの駅の間にある風景がいくつもバックに添えられている。
新宿御苑前のイタリアレストラン、千駄ヶ谷駅、テル館(絵画館)の見える外苑、そしてエンデイングの舞台は須賀神社の男段である。
特に須賀神社の男段がフィナーレに使われたのは少々の驚きである。
素人の感想を述べてみたが、やはり私はこの作品にフィーバーする世代とは相当の乖離があるようである。
【参考資料】
『
Record china配信日時:2017年9月26日(火) 12時0分
http://
www.recordchina.co.jp/b191658-s0-c70.html
「君の名は。」メガヒットに続き、
新海誠監督のデビュー15周年記念展、
台湾でも開催へ ―台湾
2017年9月25日、映画「君の名は。」で知られる新海誠監督のデビュー15周年記念となる
「新海誠展−『ほしのこえ』から『君の名は。』まで−」
が、台湾でも今年12月に開催されることになった。
NOWnewsが伝えた。
映画「君の名は。」は台湾でも昨年10月に一般上映され、興行収入は2億5000万台湾ドル(約9億3000万円)を突破。
アニメ映画としては異例のヒット作となり、台湾で最も売れた日本映画となっている。
新海誠監督のデビュー15周年を記念して、11月11日〜12月18日にかけて、
東京・国立新美術館で「新海誠展−『ほしのこえ』から『君の名は。』まで−」が開催 される。
この展示が場所を移して台湾でも開催されることになり、12月の予定が明らかに。
具体的な日程や場所については、「新海誠展in台湾」のフェイスブックページで今後発表される。
15周年記念展では、新海誠監督のアニメーションの世界を、絵コンテ、設定、原画、美術、映像をはじめ、映画の世界観を体験できる造形物などを通じて紹介する。
「君の名は。」だけではない新海誠監督の作り出す魅力的な世界を、台湾のファンの前に展開するものとなる。
』
『
Record china配信日時:2017年9月28日(木) 12時30分
http://
www.recordchina.co.jp/b191941-s0-c60.html
アニメ「君の名は。」がハリウッドで実写映画化!
大ヒットした中国でも話題に
2017年9月28日、新海誠監督の大ヒットアニメ「君の名は。」が米ハリウッドで実写映画化されるとのニュースに、中国のネットユーザーが反応を示している。
東宝の発表によると、実写映画化の権利を取得したのはパラマウント・ピクチャーズ、番組制作会社バッド・ロボットで、東宝はこれら2社と実写化に向けた開発を進めているという。
プロデュースはバッド・ロボットの所有者で映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の監督を務めたJ・J・エイブラムス氏らが担当。日本での配給は東宝が担当するとのことだ。
この作品のアニメ版は日本から約3カ月遅れとなる昨年12月2日に中国で公開された。
初日は平日(金曜日)だったが、興行収入は7400万元(約12億5600万円)を突破。
3カ月間にわたる上映で約5億7660万元(約97億円)を記録し、これまで日本アニメとしてトップの座を維持してきた「STAND BY ME ドラえもん」を抜いたとされている。
今回の実写化のニュースに中国のネットユーザーはさまざまなコメントを寄せており、
「期待してる!」「また感動の涙を流したい」「実写版のタイトルは『what is your name?』とか?」
といった声や、
「英語のセリフで日本語が持つあの感覚を表現するの?」
「東洋文化の『なんとなく匂わせる』という部分がうまく表現されるのだろうか?」
「舞台はやっぱり日本が良いと思う」
「アジアの俳優に演じてほしい」
「ぜひ新垣結衣に!」
という意見、
さらに「お願いだから私の幻想を打ち砕かないでね」や「幻想を壊されたくないから先に他の人の感想を聞いてから実写版を見るかどうか決める」などの声が聞かれた。
』
*** 南の島の ***
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